2011/02/20

第26回日本環境感染学会のシンポジウムで多剤耐性菌感染症の治療について話をしてきました。

2011.2.19は早朝からパシフィコ横浜まで出かけました。朝9:00からシンポジウムの打ち合わせだったからです。新幹線ではぐっすり。で、会場つくや受付・クロークは超長蛇の列でびっくりしました。しかし、この学会はいつもこんな感じですな。


今回は多剤耐性菌の基礎から臨床といったテーマのシンポジウムで私は「多剤耐性菌感染症の治療とその難しさ」というタイトルでの口演でした。会場は立ち見の方が壁を埋める熱気で、それなりに場慣れしているはずの私ですが、今回は発表を待つ間に若干緊張してきました。


感染症の治療といったときに抗菌薬の選択しか頭にないのならば多剤耐性菌感染症の治療は極めて簡単です。多剤耐性であるほど治療薬選択の幅はなくなっていくわけですから、一つ二つあるか無いかの薬剤を使うしか他ないというだけのことで頭の使いようはありません。あったらいいなという期待はわかるのですが、他の人がはこっそり知っているけど私は知らなかった、実はこの菌にはこの薬が効く、みたいなうまい話(それがあるかのような発表はときおり耳にしますが)、そんなものはどこにもありません。


つまり、抗菌薬以外に治療としてできることがあるのか、あるならそれをどう可及的に探して行うかという一点が治療成功に大きく大きく影響する、それが多剤耐性菌感染症の治療のポイントだと思います。そうするとそれは結局は素早く正確な診断をつけるということに他ならないということです。


これはこれで極めて正当な論理展開ですし、実際そうなんだからしょうがないじゃないか、という思いで話をしたのですが、座長の一人の先生からは「なんだかうまくかわされた気がしますが、、」と言われてしまいました。しかしこのような診断のアプローチはそもそも耐性菌でも感受性菌でも同じく必要なことであって、いつも感受性菌感染症を診るときに出来ていなければ、より患者の状態の悪い状況で起こりやすい耐性菌感染症のときに出来るわけがないなと思います。よりそれが必要なのにもかかわらず、です。ここが難しさの一。


診断の不足を治療薬の選択幅によって何とか穴埋めしている気でいると、多剤耐性菌が検出された時点で即ドン詰まってしまうでしょうね。一つだけある感受性薬に吸い寄せられるようにすがる思いでその効果を期待するだけ期待して、診断への眼はますます曇ってしまうでしょうね。これが難しさの二。そしてそれは患者への正しい治療を遠ざけるという危険と、そのようなやり方が多剤耐性菌検出をこれだけの現状にしてしまったのだという慨嘆と、さまざまなメッセージを含んだ発表となりました。スライド枚数は大分がんばって減らしたのですが、伝えたい内容としてはまだちょっと欲張りに詰め込みすぎだったかもしれません。


座長のもう一人は前から知り合いの先生で終了後に少し話をしていて、「未承認のあれが効くとか、これとこれ併用したら効くかも、みたいな話はつまんないですから、今日の発表とってもよかったです」との言葉をもらいました。皆の期待に応えられていたのだろうか、とはいつも講演後にも感じることなので、とても嬉しい言葉でした。ある意味期待には応えられてなかったのでしょうけど。
ともあれ、聞いてくれた大勢の中には、何かひとつでも気づいて行動してくれる方がきっといるはずだと思っています。



2011/02/18

2011.2.18 姫路に講演しに行きます.

今日は夕方から姫路感染対策フォーラムで感染症診療と感染予防策の話をしに行ってきます。

内容的にはいつもと変わらない話なのですが、これまでの若干詰め込みすぎの内容を、エッセンスとアピールしたいポイントはそのままに、スライドの分量はややスリムにして、話し方に少し工夫を加えていこうかなと考えてます。

2011/02/05

2011.2.24の日本集中治療医学会学術集会(横浜)での教育セミナーの案内ができました。


第38回日本集中治療医学会学術集会(横浜)の教育セミナーの分の案内チラシを数日前に届けていただきました。製作はまかせっきりですが、わりといい感じに仕上がってます。