2010/02/26

2010.2.26 近畿中央胸部疾患センター(堺)で開催された院内感染対策研修会で話してきました。

この研修会は国立病院機構の近畿ブロック医療技術研修で、縁あって数年前から毎年講師として、1日研修の中の1コマをいただいてお話しています。

タイトルは「院内感染対策と抗菌薬の適正使用」です。(いつもながら)診断への貪欲さと予防するという意識の重大さ、そして、診断・治療・予防がどう結びついているかについて、自分の病院での経験に基づいてお話ししました。簡単なこと、些細なことのわずかな不足がそれと気づかれないままに積み重なって感染症患者の予後を悪化させているという、見ようとしなければ見えにくい真実、しかし逆にいうと改善させる余地がたくさん残されているということでもある、ということが(改めて書くとたいそうな感じですが)伝えたいメッセージです。感染症は伝染するといういやな病気ですが、だからこそ予防する手段があるんですよね。

毎年同じような話ばかりで、、、と司会の先生に言い訳したところ、この手の話は何度も繰り返し聞いて意識づけることが大切だし何度も聞いてやっとわかってくるところもあるから来年も同じのをよろしく、とありがたいお言葉をいただきました。

帰りは寝過ごさないようにと天王寺からすこし贅沢して京都終着のはるかにしたところ、案の定、車内で特急券買った次の瞬間は京都でした。しかしはるかはホームから改札まで遠すぎるのが難点ですな。

2010/02/19

2010.3月には盛岡と神戸へ話しに行きます。

2010.3.6岩手県病院薬剤師会学術講演会で話してきます。

タイトルは「MRSA感染症の診療におけるピットフォール」です。
内容はやはり、ベーシックなポイントを十分に追求することの重要性と必要性です。できているつもりで実はできていないってことは実に多いですから。黄色ブドウ球菌は奥の深い菌なのでとくにです。

岩手県には3年前にも3月に久慈までカンジダ症の話をしに行きました。盛岡は医師になって3-4年目だったか臨床呼吸機能講習会で行ったことがあります。私の出身の大分県にもリアス式海岸があるので勝手に親近感もってます。三陸海岸にくらべたら子分もいいとこですけど。


もうひとつは、2010.3.18神戸感染症フォーラム、タイトルは「深在性カンジダ症の制御にむけて」です。

会場の神戸ポートピアホテルは以前勤務していた病院、住んでいたマンションのすぐそばです。あの頃はあの頃でしんどく仕事していましたが、今に比べればまあ随分気楽でしたね。

2010.2.18 庄内病棟薬剤師学術講演会(山形県酒田市)で話してきました。


案内
実を言うとお話しする内容はいつも同じです。診断を追求せずに治療が行われること、選択した薬剤が不十分な投与であることの危うさ、そしてそれらが顧みられていない状況を一歩ずつでも改善させることの重要性と必要性。

聴衆がどんな方であっても大事なことが変わる訳じゃありませんので私としては同じで当たり前です。ただ、今回は薬剤師の会でしたので、とくに用法・用量を改善させること(単なる正常化ですが)を自らの使命というか義務として貪欲に追求してほしいという点を強調はしました。そしてそのことが診断にも間接的にリンクするということも。

と言うのも、その薬剤が本当にその真の最大効果を発揮できているかということこそが他ならぬ薬剤部にとっての至上命題だと思うからです。そういう意味で薬剤部が、その本分中の本分であることに誰も文句の付けようのない、薬剤の「使われ方」に対して本気で真剣になっていることが伝わっていけば、医師ももう少し真剣に本当にその薬剤が必要かを考えるのではないか、その方が少なくとも、薬剤師が何で口出してくるの?っていう空気をまとう医師達に対して薬剤の選択に微妙なちゃちゃを入れ続けることよりは互いに前進できるのではないかと思っています。


来月は岩手(岩手県病院薬剤師会学術講演会)に行きます。東北となんかご縁があるんでしょうかね。

2010/02/15

2010.2.13 第2回JPIC学術講演会(神戸)にディスカッサントとして参加してきました。

私は「アウトブレイクから学ぶ」のセッションのメンバーでした。

はじめに2つの事例を当該病院の先生にご紹介いただきましたが、いずれの事例でもその中ででてくるひとつひとつの事柄に重みというか奥深い意味があるということを、過去から今に至るまでの自分とその周りの経験から深く感じながら聴きました。

アウトブレイクでは考えられる様々な要因への対策を速やかに、同時に進めなければなりません。それを十分わかっているつもりでいながら、一方で「どうしてこんなことになってしまったんだ」と苦悩する当事者達には、「どこか(の一点)に原因があったんじゃないのか」という本能的な疑問が沸いてくるものだと思います。でも本質はそうではないということをスイスチーズモデルは意味しています。どれか特定の一枚の穴が大きかったことが原因と思い込むことは心の平静を取り戻すには有効かもしれませんが、対策を見誤る(あるいは再発する)危険がとても大きい。ある特定の医療処置が危険因子の一つとして挙げられるとそれがスケープゴートになってしまうのはマスコミの悪影響の一つでしょう。素人はそう思ってもしかたないですが、プロがそれくらいの視野しか持ってなかったらちょっとアウトですね。

例えば「そうか、器具の洗浄・管理方法がわるかったんだ」と思うのは簡単だし、こころの平静も得やすいです。しかし、その器具をよく使う医療者(の手指衛生)に問題はあったのかもしれない。そもそも、だからこそその器具にその菌が最初に付くことになったのかもしれない。さらにいうとある処置が有意だったといってもそれのみが唯一の有意因子というケース自体まれですし(少ない因子のみの解析だったらわかりませんが)、統計解析で有意でなかった=無関係だったということでもありません。

しかし、ここは実際には学術的にはなかなか難しい問題です。アウトブレイクが起こった時に「ピンポイントの対策のみで他は何もしない」という選択肢は現実的にあり得ないからです。アウトブレイクの終息のために行ったことはおそらくすべて有効だった(一枚一枚のチーズの穴を塞いだ)のでしょう。思い切って行った特異的な一つが含まれていたら英断を下した当事者はその一つが特別有効だったと思いたくなるのは自然な心理ですが、本当にそう思い込んでしまってはやはりプロ的視野を持っているとは思えません。いろいろな対策を包括的に進めることができたということ自体が、チームにとって、病院にとって最も大きなことです。

とはいえ、人前で話すときには目を引くようなことを言わざるを得ないというプラクティカルな事情があるのもよくわかりますけどね。しかし、なぜ、どんなきっかけで包括的に対応できたのか、何が対策の障壁だったかというようなことを(通常わかっていてできないことなので)、泥臭い人間関係みたいなところまで含めて掘り下げて話した方が普遍性があるかなと、次、自分の話す機会があったら考えてみようかなと思ってます。

まったくの余談ですが、アウトブレイクの終息というときに、「収束」が使われてるところを目にしますが、まったく合ってないと思います。収束ってのはばらばらだったものがひとつにまとまるっていう意味ですからね。確かに、ある意味ばらばらだったものがまとまるわけですけど、それはアウトブレイクが、ではないですな。


場所は、ホテル北野プラザ六甲荘。ゆっくり一泊したくなるお上品なホテルでした。来年第3回は同じ時期に名古屋駅のマリオットで、だそうです。

2010/02/09

2010.2.18 庄内病棟薬剤師学術講演会で話してきます。

タイトルは「抗菌薬適正使用を目指す診療支援のあり方〜医師と薬剤師の役割〜」です。
山形県酒田市。もちろん初めてです。雪景色が好きで楽しみなんですが、そういうと住んでいる方に申し訳ないのでこっそりそう思うだけにしています。

2010/02/08

2010.2.6 第94回京都実地医家の会例会でお話ししてきました。

今シーズンめずらしく雪模様の日でした。

タイトルは「呼吸器感染症に対する診療アプローチと適正使用の考え方」でした。
外来診療で上気道炎に対して診断=最適治療が何か、を追求しているか、という(偉そうですが)問いかけが主旨です。


固定給をいただいている勤務医と日々の診療がダイレクトに収入に反映する開業医との間では感覚に多少ギャップが生じるところもあるかもしれませんが、患者にとってのベストを尽くすという使命感は同じでしょうから、私の話す内容も伝わったのではないかと思います。
忙しい外来で全ての上気道炎患者に対して厳しく診断を追求するのは無理があるかもしれませんが、いわゆるかぜ症候群に対して抗菌薬を"念のため"に投与することが、いきなりゼロにならなくても、今の1/2でも1/3にでも少なくなればと願うばかりです。

最初は「ほんとは抗菌薬要らないんじゃないのかなあ・・・」と思いながらしぶしぶ処方していた医師も、患者の希望や一抹の不安に押されているうちに一度処方がルーチン化してしまうと、意識しないうちにメンタルな防御反応によって徐々に「抗菌薬投与した方が患者の反応がいい」「肺炎の予防になっているはずだ」というふうに思い込んでしまう、自己矛盾した行動に普通の人は耐え続けられないので自分を納得させられるようにそう言い聞かせているうちに本当にそう信じてしまうようになってしまったというようなことはあると思います。
ということ、前から思っていましたが、質問に答えているうちに、流れで口に出してしまいました。

次にレジ感が迫っているため自分の講演が終わるやいなや会場を後にしなければならなかったのが残念でした。レジ感もエキサイティングでよかったですけど。

2010/02/06

2010.2.5 環境感染学会総会の教育セミナーで話してきました。

テーマは地域における感染対策。
私は「京都におけるVRE感染対策」というタイトルで、我々が取り組んできたこと、その成果について話しました。
パニクったりすぐに諦めたりせずに正しく状況を把握することで、何が最善か(何が理想かではなく)を考えることの大事さ、そしてそれが最善かどうかはやっぱり正しく状況を把握できるかにかかっている、というサイクルについて。
感染対策のキモ中のキモがサーベイランスにある、というのもそういうところからですよね。私はこの領域に入ってまもなくの頃は、サーベイばっかやっててもそれ自体目的になるようなもんじゃないししょーがないじゃん、って少しさめた目でサーベイランスを見ていました。すみません。っていうか恥ずかしいです。